今日もいつもと同じように、9時30分に講義室に到着。
だが、そのドアに張り紙アリ。
時間変更
本日の材料工学特別講義の開始時間を、急遽10時30分からに変更する。
ちっ・・・。
そういう時間変更は前もって伝えて欲しいものだ。
1時間とは中途半端な時間だ。
これが普通の人だったら、研究室に戻って実験の準備したり、
友達と喫茶店に行って時間を潰したりすることだろう。
しかし、僕にはそういったアテは全く無い。
1時間、ただ待つだけだ。
そしてドアを開け、中に入る。
通常なら30人くらいいるはずだが・・・、ここにいるのはたった1人。
広い講義室にたった1人、机にうつ伏せになって寝ている。
クククク・・・、こいつも僕と同じように、
他に行くアテが無くてここでボケッとする以外無いんだな。
しかも、分かっているぞ。お前は起きている。
僕が部屋に入ってきた事に気づいている。
気づいていながら、寝たフリを続けているか、寝ようとしているか、
どちらかだ。
なぜ無理にでも寝ようとするのか、分かっているぞ。
僕と眼を合わせたくないんだろ?
こんな広い講義室で一人ポツンとしている姿を、
その顔を人に見られたくないんだろ?
クククク・・・、全てお見通しだ。
僕も全く同じだからな。
お前が寝たフリをしていてくれてよかった。
僕もこれから寝たフリをしながら考え事をする。
早く今日という日が終わることを願いながらな・・・。
そして、広い講義室には、2人の男がうつ伏せに寝ている姿があった。
今日のテーマはソーラーパネル。
やはり興味の無い話だった・・・。